
「絵になる」まちをつくる―イタリアに学ぶ都市再生
民岡 順朗
著者の民岡氏はイタリアに留学して修復技術を学び、実際にヴィテルボ市などで壁画修復をされたいたという経歴を持ち、その際に学んだ修復の理論を元に、現代日本の都市にメスを入れています。
副題の「絵になる」という言葉が表すように、都市の《風景》が持つ機能を独自の視点で分析し、イタリアの諸都市にあって日本にない要素が洗い出されます。「風景とはまちの記憶である」と定義し、現代日本のどこにいっても同じ退屈な都市の町並みとなっている原因は、都市が「記憶喪失」になっているためとのこと。
この状態に対する対処法として提示されるのが、西欧美術界がリードしている「修復」の理論に見出せると、氏の論は続きます。「修復」の倫理的前提とされる《部分の処置であり、他に問題が無ければそのときの状態のまま「保存」するということ》(『修復からのメッセージ』森 直義 (著))に立脚し、絵になるまちを作るには「歴史性のかすかな痕跡を再発見し、修復・保存すること」が必要と説く論は、なかなか説得力に満ちているように思います。
「古い」=「絵になる」という訳ではないと思いますが、過去からの遺産を受け継いできたことが伝わってくる街並みには、美しさや望郷的なものがありますね。観光都市と言われる都市には必ず、そのような歴史性を感じさせる街並みや建築物があるものですが、都市に蓄積された記憶を《風景》として感じているのだと、理解できました。
日本という地理的に自然の変化に富んだ環境では、街並みに自然との融合を計画することが今後の都市建設に有効では、と氏は一つの結論を出されています。それは今でも都市の一画に雑木林を伴った自社仏閣が存在していたりしますが、今後は人口の低下に伴う空白地帯を緑化することで、森林が都市を区画するものとして現れてくるというもの。
私は東京の下町なんかとても風情があって良いし、新宿や渋谷の混沌とした様子もそれはそれで一つの文化だと思っていますが、再開発で何でも新しくなっていく様子にはどうかなぁ、と感じます。
今でも大手町や日本橋のビルの中には「ビルヂング」と呼ぶに相応しい可愛いデザインが見られ、そういったものもどんどん新しくしていくのではなく、「修復」しながら「保存」していくという流れがあっても良いでは、と思わずにはいられません。
そして池上先生も翻訳に参加されている『修復の理論』Cesare Brandi(著)への興味も湧いてきました。かなり難解な著書のようですが、いつか挑戦してみたいですね。
<読中記録>
・『逃亡作法』東山彰良 40%
・『ニューロマンサー』ウィリアム・ギブスン 50%
・『造物主の掟』ジェイムズ・P・ホーガン 60%
・『十三の無気味な物語』ハンス・ヘニー・ヤーン 2%
・『奥様はネットワーカ』森博嗣 20%
・『美術史入門』グザヴィエ・バラル・イ・アルテ 30%
・『カビの常識 人間の非常識』井上真由美 50%
・『無限論の教室』野矢茂樹 80%
・『秘宝(下)』ウィルバー・スミス 5%
・『奇怪動物百科』ジョン・アシュトン 30%
・『ニンギョウがニンギョウ』西尾維新 20%
・『運命の姉妹』デイヴィッド&リー・エディングス 80%
・『ルネサンスの女たち』塩野七生 90%
<読待一覧>
・『女彫刻家』ミネット・ウォルターズ
・『鉄の枷』ミネット・ウォルターズ
・『昏い部屋』ミネット・ウォルターズ
・『まやかしの風景画』ピーター・ワトソン
・『原則中心リーダーシップ』スティーブン・R・コヴィー
・『ドラッカーが語るリーダーの心得』小林薫
・『絵画で読む死の哲学』佐渡谷重信
・『お金と英語の非常識な関係(上)』神田昌典
・『審判(上)』パトリシア・コーンウェル
・『審判(下)』パトリシア・コーンウェル
・『あやかし(下)』高橋克彦
・『蛇の形』ミネット・ウォルターズ
・『SKELLIG』David Almond
・『The Grave Maurice』Martha Grimes
・『聖骸布血盟(下)』フリア・ナバロ
・『逃亡作法』東山彰良 40%
・『ニューロマンサー』ウィリアム・ギブスン 50%
・『造物主の掟』ジェイムズ・P・ホーガン 60%
・『十三の無気味な物語』ハンス・ヘニー・ヤーン 2%
・『奥様はネットワーカ』森博嗣 20%
・『美術史入門』グザヴィエ・バラル・イ・アルテ 30%
・『カビの常識 人間の非常識』井上真由美 50%
・『無限論の教室』野矢茂樹 80%
・『秘宝(下)』ウィルバー・スミス 5%
・『奇怪動物百科』ジョン・アシュトン 30%
・『ニンギョウがニンギョウ』西尾維新 20%
・『運命の姉妹』デイヴィッド&リー・エディングス 80%
・『ルネサンスの女たち』塩野七生 90%
<読待一覧>
・『女彫刻家』ミネット・ウォルターズ
・『鉄の枷』ミネット・ウォルターズ
・『昏い部屋』ミネット・ウォルターズ
・『まやかしの風景画』ピーター・ワトソン
・『原則中心リーダーシップ』スティーブン・R・コヴィー
・『ドラッカーが語るリーダーの心得』小林薫
・『絵画で読む死の哲学』佐渡谷重信
・『お金と英語の非常識な関係(上)』神田昌典
・『審判(上)』パトリシア・コーンウェル
・『審判(下)』パトリシア・コーンウェル
・『あやかし(下)』高橋克彦
・『蛇の形』ミネット・ウォルターズ
・『SKELLIG』David Almond
・『The Grave Maurice』Martha Grimes
・『聖骸布血盟(下)』フリア・ナバロ










TBしていただき、どうもありがとうございます。
私もブランディの『修復の理論』に挑戦してみようと思い一応手元においてはあるのですが、ちゃんと理解できるかどうか怪しいです。
また、お邪魔させていただきますので、これからも、どうぞよろしくお願いいたします。